戯言シリーズの完結にあたって西尾維新さんからコメント & 各種イベント

 メールマガジンファウストを参照。
http://shop.kodansha.jp/bc/books/zaregoto/
 こちらも参照のこと。

 既にみなさまお聞き及びの通り、『ネコソギラジカル(下)』が、今月、それもあと数日で発売されるそうです。勿論あと数日と言っても何があるかわかりませんが、少なくとも、私の技量の及ぶ範囲のことは、全てやり終えました。あるいは、全てやり遂げた、というべきかもしれません。
 となれば、あとはもう、謹んでみなさまに読んでいただくばかり、今更私がしゃしゃり出てきてわざわざ無様を晒す必要はないのですが、今後しばらくの間、このような公の場で私が発言する機会は極端に減ることになると思われますので、それなりのご挨拶をさせていただきます。
 この『ネコソギラジカル(下)』の刊行により、私がデビュー以来執筆を続けてきた、いわゆる戯言シリーズも、遂に完結の二文字を迎えることになるのですが、いやはや、実際、疲れました。ともすれば情けない話にもなりかねませんが、とりあえずの感想は、まずその一言に尽きます。単に『ネコソギラジカル』だけのことではなく、戯言シリーズのその全て、六作九冊、仕込みから数えて足かけ五年、とにかくずっと遮二無二、死に物狂いでしたから。気がついたら、いつの間にか五年という歳月が経過し、まるで知らない場所まで来ていました。ありふれた言い方で恐縮ですが、長いようで短かった、辛いようで楽しかった、ここまでの道程でした。
 小説を書き始めるのは容易いが小説を書き終えるのは難しいと言いますが、それはシリーズについても同じでしょう。物事をどこで止めるか、と言うのは、何事につけ、最も肝要な焦点なのだと思います。終わるべきときに終わり損なってしまうと、始まりよりも大切な終わりを見失ってしまいます。その意味では、戯言シリーズは、それに相応しい終わりにたどり着いたのではないでしょうか。……でも、本当を言えば、本音を言えば、一生、戯言シリーズを書き続けることができたら、よかったのですけれどね。
 まあ、こればっかりは巡り合わせですから、仕方ありません。物語内のことだけでなく、この先、たとえどんなにまかり間違えても『新・戯言シリーズ』を始められそうもない、言うなれば逆ミザリーみたいなこの盛況の中で、戯言シリーズを終了させることができる光栄を、今はただ、かみしめたいと思います。
 さて、例によって長くなってしまいましたが、私のつまらないおしゃべりもここまで。野となれ山となれなんて無責任なことは申しません。細工は流々、あとは仕上げをご覧じろ。『ネコソギラジカル(下)』が、これまで戯言シリーズを愛してくださったみなさまに楽しんでいただけることを、心から望んでいます。
 そして、もうすぐ終わる一編の小説が、どうか幸せな物語でありますように。

                               <西尾維新

 それでは、お待ちかね! シリーズ完結にともなう各種イベントをあなたにすべてご報告いたします。まず、11月9日から13日まで、東京・山手線の各車両に<戯言シリーズ>ポスターが貼られます。しかも『ネコソギラジカル(下)』の表紙イラストバージョン、裏表紙イラストバージョン、今までのカラーイラストのコラージュバージョンの3種類!
 そして、10月31日から11月中旬まで、東京・文京区音羽講談社の社屋には竹さんの表紙イラストをあしらった懸垂幕が出現! 11月7日から11月下旬までは東京・紀伊國屋書店新宿南店様にも同様の巨大な懸垂幕が出現します。(山手・総武・中央線の代々木駅〜新宿駅間の山手線の内側方向で見ることができます)
 また、書店店頭での展開として、山手線に貼られたポスターと同様のポスターを全国の書店までお届けするとともに、店頭での無料配布用として、前号の「太田の小部屋」で第一報をお知らせした16ページの特製<戯言パンフレット>、そして隠し玉の<戯言しおり>!をお届けしています。
 <戯言パンフレット>は、西尾さんご自身の筆によるキャッチ・コピーつきのシリーズキャラクター紹介にはじまって、「ミステリーの館」号外アンケートからのファンの皆様の声の紹介(ご協力、本当にありがとうございました)、著名人24人によるシリーズ完結にあたっての声援コメント(上遠野浩平清涼院流水乙一北山猛邦佐藤友哉滝本竜彦各氏からはじまる「ミステリーの館」の読者のあなたにはおなじみの方々の素敵コメントはもちろん、意外な方の意外なコメントも掲載! なんと、あの芥川賞作家もコメントを寄せているとか、いないとか……)、そして、パンフレット末尾のとっておき企画としては、西尾さん、竹さんから直接いただいた戯言シリーズ完結に寄せるコメント(竹さんはここだけでしか見ることのできない描き下ろしカットつきのコメントです!)……などなど、無料にもかかわらず、戯言シリーズファンのあなたなら絶対に見逃せない・読み逃せない充実の内容で迫る16ページになっています。
 どうかお楽しみに!
 また、<戯言しおり>ですが、戯言シリーズ各巻の表紙イラストをあしらった全9種類をご用意! 裏面には西尾さんご自身が小説中からチョイスした文章が入っているこの特製<戯言しおり>、シリーズ全体の装丁を手がけていただいたデザイン事務所・Veiaさんによるクールなデザインです。今回はめずらしく?僕ではなく、販売部のSさんの陰謀(? )で、ひとつの書店さんには原則として一種類のみのしおりの配布となっているそうですので、全種類のしおりゲットのためには最低でも9つの書店の店頭を行脚しなければなりません……って、それはいったいどこの『かまいたちの夜』だ! といいたくなるような“しおり完全制覇”のための高いハードルですが、お時間のある方はぜひ、この秋のイベントとして、全しおり発見の旅を試みてください。
 しかし、もし万が一、不幸にしてお近くの書店でパンフレットやしおりをまったく見つけられなかったあなたのために、講談社BOOK倶楽部のウェブサイト(http://shop.kodansha.jp/bc/books/zaregoto/)では、<戯言パンフレット>および<戯言しおり>の全点の内容を11月2日から完全公開していますので、どうかご心配なきよう。
 そして、さらに広がる西尾ワールドの最新情報をお届け! 11月下旬発売予定の“闘うイラストーリー・ノベルスマガジン”『ファウスト』Vol.6 SIDE−A、そして12月下旬発売予定のSIDE−Bでは(『ファウスト』Vol.6は前代未聞の二冊組みで刊行予定です)、西尾さんの最新作が一挙二作品!掲載予定です。SIDE−Aの情報をお知らせすると、掲載作品のうちひとつはシリーズも佳境に入った<りすかシリーズ>最新作の『部外者以外立入禁止!』、そしてもうひとつは、待ってましたの『零崎軋識の人間ノック2 竹取山決戦(前半戦)』!“人間失格”の人識くんの登場はもちろんのこと、あの「兄」も満を持して登場をするらしい……? <戯言シリーズ>での不滅の金コンビ、西尾維新×竹の筆が冴えわたる快心の出来映えをとくとご覧あれ。

 最後に……「One more thing……」。

 <戯言シリーズ>完結記念の決定版企画として、ただいま『戯言ボックスセット』を鋭意製作中! です!! これは、来春受付開始予定の全24014セットのシリアルナンバー入りの完全限定アイテム。内容は、あなたの書棚の<戯言シリーズ>全9巻がそっくり収納できる竹さん描き下ろしのスペシャルボックスに、西尾さん入魂の書き下ろし『戯言シリーズ完全用語辞典』(全15万字オーバーの大ボリューム!)を同梱した特別仕様。もちろん、その他の同梱アイテムも着々と企画中です。

 このボックスセットは、筋金入りの屈強な西尾ファンであるあなたにのみ購入を検討していただきたい一品を目指して編集しています(ですから、『戯言シリーズ完全用語辞典』は、追って講談社ノベルスの一巻としても発売予定です)。予約方法や内容などの詳細が決定し次第、今後も「太田の小部屋」などでお知らせをさせていただきます。
 それでは、戯言シリーズの記念すべきピリオドを、どうか満身でお楽しみください!
 また来月!

                     <文芸図書第三出版部 太田克史