ライトノベルの読者年齢について

 最近、方々で「ライトノベル読者の年齢」に関する話が出てきて、興味深く私も拝見しています。ただ、加野瀬氏を含む多くの方は分かっておられる上で見ていると思うのですが、「××書店の購入客は○歳〜○歳が多い」というデータがあっても、それは各個別店舗の話であって、ライトノベル読者全体の傾向ではないということです。正確に全体の傾向を把握するのであれば、統計調査を行う必要があるわけです。
 というのも、某所で「電撃文庫の読者は大人が大半だったんだ!」(意訳)というような文章を見たからなのですが……。そんなふうに理解している方がいることに、失礼ながら驚いてしまったのでした。各店舗ごとのライトノベル読者の傾向はわかるとしても、全体の傾向はこれらの記事だけからは容易には見えてこないでしょうと思います。
 実際問題としては、読者層を正確に把握する調査は非常に困難なために、ある程度推測に頼らざるをえないと思います。なので長年、業界内部で読者の動きを見てこられた方の推測はとても興味深いと思います。が、繰り返しになりますが容易には「読者全体のうち大半は大人である」と結論付けることはできないと考えますので、このような駄文を書いてみたのでした。
 なお統計調査に関しては谷岡一郎『「社会調査」のウソ』(文春新書・2000)が良書です。統計のよしあしがある程度わかるようになります。